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「火垂るの墓」実写ドラマ松嶋菜々子がいじわるな叔母さんを好演

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「火垂るの墓」実写ドラマ松嶋菜々子がいじわるな叔母さんを好演

火垂るの墓といえば、高畑勲氏のアニメ「火垂るの墓」が一番に思い浮かんでくるでしょう。

2005年に終戦60年スペシャルドラマ『火垂るの墓―ほたるのはか―』が実写版として放送されていたことをご存知でしょうか。

火垂るの墓実写版でいじわるな叔母さん役を演じたのが、当時31歳の松嶋菜々子さんでした。

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◆『火垂るの墓』のおばさんは悪?清太は無能?

注目ポイントは、原作のように清太の視点ではなく、叔母さんの視点で物語が描かれている点です。

 

戦争の被害者、弱者として扱われる清太と節子の兄妹。

しかし生活力もないまま妹とともに叔母さんの家を飛び出した清太の行動は、子供とはいえ自分勝手で無責任であるといった意見も多く聞かれます。

 

そこで本来悪役であるはずの叔母さん役として美しい松嶋菜々子さんを主人公に起用し、違った視点から『火垂るの墓』が描かれたこのスペシャルドラマ。非常に興味があります。

叔母さん(澤野久子)役を演じた松嶋菜々子さんは当時31歳。放送前から「キレイすぎる」「若すぎる」との批判が聞かれた作品です。

 

実際にこのドラマを観た人の感想はどういったものなのでしょう。

 

◆「火垂るの墓」実写版 松嶋菜々子は悪役なのか?

アニメ版よりもドラマ版の方が分かりやすかったです。

初めて火垂るの墓を見たとき、おばさんがひどい人だと思っていましたが大人になった今ではおばさんの言い分は正しいと思うようになりました。

母親を亡くした清太の節子を守ろうとする言動は正しいことだけど妹を守りたいのであれば、しっかりと勤労に出て食べる分を稼ぐべきだったと思います。

そしておばさんの家を出ずにおばさんの言うことを聞いて労働に参加していれば二人共死ぬことはなかったはずです。

否定的なレビューも多いようですが、私にはドラマ版「火垂るの墓」のほうが本当の戦時をリアルに再現しているように感じられました。

優しいおばさんが非情な鬼へと変わっていく姿を描くことによって、極限状態における人間の残酷さを表現したという点は高く評価できると思います。

親戚のおばさんを憎く感じるのは清太と節子を中心に描いたアニメ版の演出によるところが大きいはずです。

清太役の石田法嗣くん、節子役の佐々木麻緒ちゃん。兄妹二人の演技は大変上手で、井上真央さんも役にピッタリで印象深い演技でした。

佐々木麻緒ちゃんが、思わずイラッとくる節子を見事に演じていましたし、おばさん役を務めた松嶋菜々子さんの名セリフも最高でした!

 

アニメ版火垂るの墓では、実母を亡くしたばかりの清太と節子を冷遇し、意地悪くののしる姿に心からイライラしてしまう人も多かったでしょう。

しかし、これは叔母さん役の声優・山口朱美さんの声優としてのスキルが非常に高い証拠。そのために悪役である叔母さんに感情移入してしまったのでしょう。

 

本当に叔母さんは悪い人間だったのでしょうか?

 

◆火垂るの墓は実写版でもアニメ版でもよい作品

誰しも社会人になってお金を稼ぐことの大変さを知ると「生きること」がいかに甘いものではないかがわかるはずです。

大人になると、清太の幼く無計画な行動が理解できる『火垂るの墓』ですが、狭い視点で見ると、火垂るの墓の悪役代表は、親戚の叔母さんだと考えてしまうでしょう。

 

アニメもドラマも、キャラやストーリーはほぼ変わっていません。

変わっていたのは「視点」です。どちらの視点で描かれるかによって、物語の印象は大きく変わってくるということでしょう。

 

兄妹の視点で描けば、おばさんが意地悪に見えるでしょうし、おばさんの視点で描けば、兄妹がワガママで生意気でプライドの高い、扱いにくい子どもたちに見えてくるはずです。

 

戦争という誰も幸せにならない愚かで悲しい行為。その戦争という愚行がもたらす悲哀はアニメ版でもこのスペシャルドラマでも感じることができるでしょう。

 

このドラマをアニメ映画にしていれば「火垂るの墓」の評価はどうなっていたのでしょうか。

高畑勲氏が亡くなられた今となってはかないませんが、観てみたかったような気がします。

 

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